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問題36:要件仕様書のレビューとチェックリストの評価

あなたは、以下の要件仕様書ドキュメントをレビューしています。

【ドキュメント情報】

  • Document: Req. spec 101-A
  • Object: Transaction screen(トランザクション画面)
  • Author: Susie Specifier
  • Date written: 2019-03-15
  • Version: 0.23
  • System: Bookkeeping TA-AB1
  • Subsystem: 2a15
  • Use cases applicable to project?: Yes

【Description(説明)】
ユーザーは顧客のアカウント上で顧客の取引(トランザクション)を閲覧できなければならない。
取引は、古いものから新しいものへの時系列、あるいはその逆、またはトランザクションID順で表示可能でなければならない。
詳細な取引情報を含むフィールドは、取引相手の名前(最大20文字)、そのID番号(6桁)、およびトランザクション識別子(8桁)を格納できる十分な長さでなければならない。

「Swap screen(画面切り替え)」ボタンを使用して、トランザクション画面とユーザー情報画面を切り替えることができなければならない。

トランザクション画面のレイアウトについては、別のドキュメントで詳細に説明されている。

  • 新しいデータの検索(取得)時間は、1画面あたり3秒未満でなければならない。同時利用ユーザー数は20〜40人の間で変動し、1年以内には60人に増加すると予想される。
  • パフォーマンス要件の詳細については、別のパフォーマンス要件仕様書ドキュメントを参照のこと。

【レビューに使用するチェックリスト】

  1. 各要件はテスト可能か?
  2. 各要件に受け入れ基準が記載されているか?
  3. 各要件に定義された優先度レベルがあるか?
  4. 要件は一意に識別されているか(IDが振られているか)?
  5. 仕様書はバージョン管理されているか?
  6. 各要件からビジネス/マーケティング要件へのトレーサビリティが見えるか?
  7. 要件とユースケースの間にトレーサビリティがあるか(該当する場合)?

あなたは、提供されたチェックリストを使用して上記の仕様書をレビューしています。(※画面レイアウトに関する詳細情報を提供する別ドキュメントにはアクセスできるものと仮定します)。

チェックリストの項目のうち、仕様書によって 「満たされていない(NOT met)」 ものはどれですか?

  • a) 1, 2, 3
  • b) 4, 6, 7
  • c) 3, 5, 7
  • d) 4, 5, 6

b) 4, 6, 7


この問題は、実際の要件仕様書をチェックリストと照らし合わせ、どの要素が欠落しているかを分析する実践的なレビュー能力を問うています。

まず、チェックリストの各項目を評価(Evaluation)します。

  1. 各要件はテスト可能か?:【YES】 最大20文字、ID番号6桁、取得時間3秒未満など、検証可能な具体的な数値が記載されているためテスト可能です。
  2. 各要件に受け入れ基準が記載されているか?:【NO】 ドキュメント内に受け入れ基準(Acceptance criteria)の明記はありません。
  3. 各要件に定義された優先度レベルがあるか?:【NO】 High/LowやMust/Shouldなどの優先度の記載はありません。
  4. 要件は一意に識別されているか?:【NO】 要件が箇条書きや段落の文章として書かれており、「REQ-001」のような一意の要件IDが割り当てられていません。
  5. 仕様書はバージョン管理されているか?:【YES】 ヘッダー情報に「Version: 0.23」と明記されています。
  6. ビジネス/マーケティング要件へのトレーサビリティが見えるか?:【NO】 上位のビジネス要件との紐づけ(リンクや参照)はありません。
  7. 要件とユースケースの間にトレーサビリティがあるか?:【NO】 ヘッダーに「Use cases applicable to project? Yes(適用されるユースケースあり)」と書かれていますが、本文中に具体的なユースケースIDとの紐づけ(トレーサビリティ)が存在しません。

設問はチェックリストのうち 「満たされていない(NOT met)もの」 を求めています。したがって、NOと判定された [2, 3, 4, 6, 7] のいずれかの組み合わせが正解となります。

  • a) 不正解。 項目1(テスト可能か)は満たされている(YES)ため除外されます。
  • b) 正解。 4、6、7はすべて満たされていない項目のため正解です。
  • c) 不正解。 項目5(バージョン管理)は満たされている(YES)ため除外されます。
  • d) 不正解。 項目5(バージョン管理)は満たされている(YES)ため除外されます。

JSTQB AL TA試験のドキュメントレビュー問題では、以下の点に注意して読み解きましょう。

  1. 「一意に識別されているか(Uniquely identified)」の落とし穴: 要件定義書において、文章が単なる段落(パラグラフ)で書かれている場合、テストケースとのマッピング(紐づけ)が困難になります。JSTQBでは「各要件には一意の識別子(ID)が必要である」という原則を非常に重要視しています。
  2. 「該当あり」と「トレーサビリティがある」は別物: チェックリスト項目7のように、ヘッダーに「ユースケースがある(Yes)」と書いてあっても、本文中のどの要件がどのユースケースに紐づいているか(IDの記載など)がなければ、「トレーサビリティ(追跡可能性)」は満たされていません。
  3. 否定形(NOT met)の質問文: 「満たされているもの」と「満たされていないもの」を逆に答えてしまうミスを誘発する典型的な問題です。評価結果(YES/NO)をメモしてから選択肢を見るようにすると確実です。

パフォーマンス要件の扱い
今回の仕様書には「3秒未満」などのパフォーマンス要件が含まれています。パフォーマンステスト自体はTTAのスコープですが、「要件仕様書が正しく書かれているか(テスト可能か、IDがあるか)」をレビューすることは、TAの重要な責務です。