第11章 開発チーム
本章では、プロダクトバックログアイテムを「出荷判断可能なインクリメント」へと変換する、スクラムのエンジンである「開発チーム」の役割と特性について解説します。
11.1 概要 & 11.2 役割別のチーム
Section titled “11.1 概要 & 11.2 役割別のチーム”従来の開発手法では、アーキテクト、プログラマ、テスター、UIデザイナなどの「職種」でチームを分業しますが、スクラムではこれらを「開発チーム」というひとつの役割に定義し直します。
- チーム内に「設計チーム」「開発チーム」「テストチーム」のような特定の役割(サブチーム)のラベルを設けることはありません。
- 作業を役割別のチームに割り振ると、深い依存関係や引き継ぎ(ハンドオフ)のムダが発生し、スクラムの成功を妨げます。
11.3 主な責任
Section titled “11.3 主な責任”開発チームは、スプリントを通じて以下の重要な責任を果たします。
- スプリントの実施: プロダクトバックログアイテムを、設計、構築、統合、テストして、出荷判断可能なインクリメントへと変換します。
- 日々の検査と適応: デイリースクラムを通じて、メンバー間で進捗を同期し、スプリントゴール達成に向けた計画を毎日調整します。
- プロダクトバックログのグルーミング: 次のスプリントの準備として、プロダクトオーナーの要件整理や見積もりに協力します。
- スプリントプランニングとレトロスペクティブへの参加: 何をどう作るかの計画立案や、プロセス改善のためのふりかえりに参加します。
11.4 特性とスキル
Section titled “11.4 特性とスキル”高パフォーマンスな開発チームになるためには、以下の特性とスキルが求められます。
自己組織化と機能横断的な多様性
Section titled “自己組織化と機能横断的な多様性”- マネージャーが「誰が何をすべきか」を指示するトップダウンのコマンド&コントロールではなく、チーム自身が「どうやって仕事を進めるか」を決定します。
- 高品質の機能を作り出すために必要な「すべてのスキルセット(機能横断的な多様性)」をチーム内に持っていなければなりません。
- メンバーは、特定の専門分野(深い縦のスキル)を持ちつつ、他の分野の作業も手伝える幅広い知識(横のスキル)を持つ「T型スキル」のメンバーで構成されるのが理想です。これにより、特定のメンバーへの作業のボトルネックを防ぎます。
銃士の姿勢(Musketeer Attitude)
Section titled “銃士の姿勢(Musketeer Attitude)”- チームメンバーは「一人は万人のために、万人は一人のために(All for one, one for all)」という、一致団結した姿勢を持ちます。個人のタスクの完了ではなく、チーム全体の成功に責任を持ちます。
持続可能なペースと長寿
Section titled “持続可能なペースと長寿”- 徹夜や週末出勤などの「デスマーチ」を避け、いつまでも続けられる健康的な「持続可能なペース」で仕事をします。
- チームは短期間で解散するのではなく、長期間同じメンバーで固定(長寿)したほうが、チームビルディングの段階(形成、混乱、規範、達成)を経て高いパフォーマンスを発揮できるようになります。
11.5 終わりに
Section titled “11.5 終わりに”開発チームは、多様なスキルを持ち、自己組織化され、互いに協力し合うことで最大の価値を生み出します。次章(第12章)では、これまで見てきたスクラムの役割をどのように組み合わせてチームを構成するかについて説明します。