第2章 スクラムフレームワーク
本章では、スクラムフレームワークの概要として、実践の根底にあるプラクティス(役割、アクティビティ、作成物)について解説します。
2.1 概要
Section titled “2.1 概要”スクラムは標準化されたプロセスではなく、作業をまとめあげ、管理するための「フレームワーク」です。
- スクラムフレームワークは建物の土台や壁のようなものであり、人間中心主義の価値観(開放性、勇気、尊敬、集中、信頼など)に基づいています。
- スクラムのプラクティスは、役割、アクティビティ、作成物と、それらに関連するルールで構成されます。
2.2 スクラムの役割
Section titled “2.2 スクラムの役割”スクラムのチームは、以下の3つの明確な役割(ロール)から構成されます。
プロダクトオーナー
Section titled “プロダクトオーナー”- 何をどういう順番で開発するかに責任を負う役割です。
- プロダクトのビジョンを持ち、達成しようとする目標を関係者全員に伝えます。
- プロダクトバックログの優先順位を決定し、最も価値の高い作業が常に行われるように管理します。
スクラムマスター
Section titled “スクラムマスター”- スクラムの価値や原則を全員が理解し、受け入れるよう手助けするコーチ・ファシリテーターです。
- チームの生産性を妨げる「インペディメント(障害)」を取り除くリーダーシップを発揮します。
- 従来のプロジェクトマネージャーとは異なり、チームに対するコントロール権限は持ちません。
- プロダクトオーナーが設定した目標を達成するための「最善の方法」を自ら決定する、自己組織化されたチームです。
- 典型的には5人〜9人で構成され、アーキテクト、プログラマ、テスターなど、高品質なソフトウェア開発に必要なすべてのスキルを備えています。
2.3 スクラムのアクティビティと作成物
Section titled “2.3 スクラムのアクティビティと作成物”スクラムの開発プロセスは、以下の作成物とアクティビティのサイクルで進行します。
プロダクトバックログとグルーミング
Section titled “プロダクトバックログとグルーミング”- プロダクトバックログ: 新しいフィーチャー、不具合修正、技術的改善など、価値の高い作業を優先順位順に並べたリストです。
- グルーミング: バックログアイテムを追加、修正し、見積りや優先順位付けを行う継続的なアクティビティです。
スプリントとスプリントプランニング
Section titled “スプリントとスプリントプランニング”- スプリント: 作業を行うイテレーションのことで、通常1週間から1か月のタイムボックスで区切られ、常に一定の期間で繰り返されます。
- スプリントプランニング: スプリントの最初に、今期達成する「スプリントゴール」に合意し、プロダクトバックログから優先順位の高いアイテムを選び出して「スプリントバックログ」と呼ばれるタスクリストに分解します。
スプリントの実施とデイリースクラム
Section titled “スプリントの実施とデイリースクラム”- スプリントの実施: 開発チームは自己組織化してタスクレベルの作業を進めます。
- デイリースクラム: 毎日15分以内で実施される検査と適応のミーティングです。進捗報告会議ではなく、チーム間で状況を同期し、障害事項(インペディメント)を共有するための場です。
完成とインクリメント
Section titled “完成とインクリメント”- スプリントの成果は「出荷判断可能なプロダクトインクリメント」と呼ばれます。
- ビジネス的に出荷するかどうかに関わらず、チームは「完成の定義」に従って設計、構築、テストを完了させた高品質な状態にしなければなりません。
検査と適応のアクティビティ(レビューとレトロスペクティブ)
Section titled “検査と適応のアクティビティ(レビューとレトロスペクティブ)”- スプリントレビュー: プロダクトの検査を目的とします。ステークホルダーを招き、完成したプロダクトのデモを行ってフィードバックを得ます。
- スプリントレトロスペクティブ: プロセスの検査を目的とします。チーム全員で「何がうまくいき、何がうまくいかなかったか」を議論し、次回のスプリントに向けた具体的な改善アクションを決定します。
2.4 終わりに
Section titled “2.4 終わりに”本章では、スクラムのフレームワークを構成する役割、アクティビティ、作成物について概観しました。次章では、これらのプラクティスを支える本質的な「原則」について深く掘り下げます。