第13章 マネージャー
スクラムには「マネージャー」という役割は定義されていませんが、組織において彼らは「チームを形作り、環境を整え、価値の流れを最適化する」ための不可欠な支援者となります。
13.1 概要
Section titled “13.1 概要”アジャイルへの移行において、マネージャーの役割はなくなるのではなく、コマンド&コントロール(指示と統制)から、チームが成功するための「環境作り」へとシフトします。
13.2 チームを編成する & 13.3 チームを育てる
Section titled “13.2 チームを編成する & 13.3 チームを育てる”マネージャーは個々のタスクを管理する代わりに、チームという「枠組み」を設計し、能力を最大限に引き出す責任を負います。
- 境界とゴールの設定: チームが自律的に意思決定できる範囲を明確にし、戦略的な方向性を提示します。
- 権限の委譲: どこまでをチームに任せるかを明文化し、段階的に委譲を進めます。
- 能力開発(T型スキル): メンバーの技術的・思考的なスキルアップを支援し、機能領域のリーダーシップを促します。
- チームの安定: 頻繁なメンバー変更を避け、高いパフォーマンスを維持できる「長寿なチーム」を保護します。
13.4 環境を合わせてなじませる
Section titled “13.4 環境を合わせてなじませる”組織全体の調整役として、スクラムの価値観を広め、外部との障壁を取り除きます。
- 組織的インピディメントの解消: チーム単独では解決できない組織構造の課題や、部門間の壁を解消します。
- 対外調整: サプライヤーや他部門との関係を、よりアジャイルな協力体制へとシフトさせます。
13.5 価値創造の流れを作る
Section titled “13.5 価値創造の流れを作る”マネージャーは、コンセプトからデリバリーまでのプロセス全体(バリューストリーム)を俯瞰し、最適化します。
- 全体最適の視点: 局所的な最適化ではなく、システム全体としての流れを妨げている要因を特定します。
- 財政と評価の管理: 予算の管理を行い、活動量(工数)ではなく「動作するソフトウェア」や「学習速度」に基づいた評価基準を策定します。
13.6 プロジェクトマネージャーの扱い
Section titled “13.6 プロジェクトマネージャーの扱い”スクラムにプロジェクトマネージャー(PM)は存在しませんが、その責任は再分配されます。
- 責任の分散: 伝統的なPM業務(スコープ、時間、コスト、品質等)は、プロダクトオーナー、スクラムマスター、開発チームの3者で分担します。
- 大規模組織での役割: 多数のチーム調整が必要な場合、指示ではなく情報の透明性を高める「ハブ」として機能するマネージャーが残ることもあります。
13.7 まとめ:伝統的マネジメントとの比較
Section titled “13.7 まとめ:伝統的マネジメントとの比較”| 項目 | 伝統的なアプローチ | スクラムのアプローチ |
|---|---|---|
| タスク管理 | マネージャーが割り当てる | チームが自律的に定義する |
| パフォーマンス評価 | 個別(個人)に行う | チームへの貢献と全体価値を重視する |
| 主眼 | プロセスの標準化 | 価値創造の流れの最適化 |