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第15章 さまざまなレベルでのプランニング

本章では、スクラムプロジェクトにおけるプランニングが、単一の巨大な計画書ではなく、さまざまな詳細度を持った「階層的なアプローチ」で行われることについて解説します。

スクラムにおけるプランニングは、以下の5つのレベルに分類され、それぞれカバーする期間や関わるメンバー、成果物が異なります。

レベル頻度誰が作るか何を対象にするか成果物
ポートフォリオおそらく半期ごとステークホルダー, プロダクトオーナープロダクトのポートフォリオの管理ポートフォリオバックログ, そして仕事中のプロダクト
プロダクト (エンビジョニング)継続的(数ヶ月〜数年)プロダクトオーナー, ステークホルダービジョン, そしてプロダクトの成長プロダクトのビジョン, ロードマップ, そして概要レベルのフィーチャー群
リリース数ヶ月ごとスクラムチーム, ステークホルダー顧客に届ける価値やフィーチャーのスコープ, スケジュールや予算のバランスリリースプラン
スプリントイテレーションごとスクラムチーム全員次のスプリントで開発と提供を行うものスプリントバックログ
デイリー毎日スクラムマスター, 開発チームコミットしたフィーチャーをいかに完成させるか進捗確認, そしてその日の作業をどう進めるかの計画

15.2 ポートフォリオプランニング

Section titled “15.2 ポートフォリオプランニング”

最も上位に位置する計画です。 組織が持つ複数のプロダクト(またはプロジェクト)の中から、「どれを」「どの順番で」「どの程度の期間で」進めていくかを決定する作業です。限られたリソース(資金や開発チーム)を、最も価値の高いプロダクトに割り当てるための重要なプロセスです。

15.3 プロダクトプランニング(エンビジョニング)

Section titled “15.3 プロダクトプランニング(エンビジョニング)”

特定のプロダクトに対する長期的な計画(数ヶ月〜年単位)であり、「エンビジョニング(構想)」とも呼ばれます。以下の3つの要素から構成されます。

  • ビジョン: プロダクトが目指す方向性や、誰にどんな価値を提供するのかを定義します。
  • 概要レベルのプロダクトバックログ: 最初期の要件として、エピックレベルの大きなユーザーストーリーを洗い出します。
  • プロダクトのロードマップ: リリースごとの大まかなフィーチャー群の割り当てを視覚化したものです。

数ヶ月単位で、プロダクトのインクリメントをいつ市場にデリバリーするかを計画します。

  • プロダクトバックログ上のアイテムに対し、「どこまでをリリース1に含め、どこからをリリース2に回すか」というリリースライン(境界線)を引きます。
  • スコープ、期日、予算のトレードオフを考慮しながら、インクリメンタルなデリバリーを目指します。

イテレーション(通常1〜4週間)ごとに行われる計画です。

  • プロダクトオーナーと開発チームが協力し、プロダクトバックログから直近のスプリントで達成可能なアイテムを選び出します。
  • 選ばれたアイテムは、開発チームによってさらに細かい「タスク」へと分解され、スプリントバックログとして定義されます。

最も詳細なレベルの計画であり、開発チームが毎日行う「デイリースクラム」のことです。

  • メンバーが集まって進捗を確認し、「今日、どのように作業を連携させてスプリントゴールに近づくか」を計画・調整します。

スクラムのプランニングは、タマネギの層のように階層的になっています。上位のレベル(ポートフォリオやプロダクト)の計画は、下位のレベル(スプリントやデイリー)の計画における重要なコンテキスト(文脈)を提供します。