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第19章 スプリントプランニング

本章では、スプリントの開始時にスクラムチーム全体で行う最重要イベント「スプリントプランニング」について解説します。この計画を通じて、チームは「スプリントゴール」と「スプリントバックログ」を作り上げます。

スプリントプランニングは、継続的なジャストインタイムの計画アクティビティであり、スプリントごとに実施されます。効果的な計画を立てるためには、以下の4つの要素をインプットとして準備しておく必要があります。

  1. プロダクトバックログ: グルーミング(整理)され、「準備完了」の状態になっている優先順位の高いアイテム群。
  2. チームのベロシティ: チームの過去の実績に基づく、予測可能な作業の消化量。
  3. 制約: ビジネスや技術的な制約、チームが守るべきルール。
  4. チームのキャパシティ: スプリントに参加できるメンバーの数や、実際に利用可能な時間。

19.2 スプリントプランニングの手法(二部構成)

Section titled “19.2 スプリントプランニングの手法(二部構成)”

スプリントプランニングは、大きく2つのパートに分けて行うのが一般的です。

  • プロダクトオーナーと開発チームが協力して行います。
  • プロダクトオーナーが最上位のPBI(プロダクトバックログアイテム)を説明し、チームはそれを達成するための「スプリントゴール」を選択します。

パート2(How:どうやって作るか)

Section titled “パート2(How:どうやって作るか)”
  • 開発チームが主導して行います。
  • パート1で選んだPBIを構築するために、どのような設計や作業が必要かを検討し、具体的な「タスク」へと分解します。これが「スプリントバックログ」となります。

スプリントにどれだけのPBIを引き入れられるかを判断するために、チームの「キャパシティ(処理能力)」を明確にします。

ストーリーポイントを使ったキャパシティ

Section titled “ストーリーポイントを使ったキャパシティ”

過去のチームの平均ベロシティ(例:1スプリントあたり25ポイント)を、今回のスプリントの目安(キャパシティ)として使います。

作業時間を使ったキャパシティ

Section titled “作業時間を使ったキャパシティ”

より細かく現実的な計画を立てるために、タスクレベルで使える「純粋な作業時間」を計算します。

  • メンバーの1日の勤務時間(例:8時間)から、スプリント外の作業(会議、メール、他チームのサポートなど)の時間を差し引きます。
  • さらに、個人的な休暇や祝日も差し引きます。
  • 結果として、1日あたりにタスクに使える時間は「4〜6時間」程度になるのが現実的です。

19.4 プロダクトバックログアイテムの選択

Section titled “19.4 プロダクトバックログアイテムの選択”

算出したキャパシティの範囲内で、優先順位の高いものから順にPBIをスプリントに選択(引き入れ)していきます。

PBIを選択しただけでは、本当にスプリント内に終わるか確信が持てません。チームが自信を持つために、以下のステップで検証します。

  • 選択したPBIを具体的なタスク(設計、コーディング、テストなど)に分解します。
  • 個々のタスクを時間単位(例:2時間、4時間)で見積もります。
  • タスクの合計時間が、19.3で算出した「チームの作業時間キャパシティ」内に収まっているかを確認します。収まっていれば、計画は現実的だという自信が得られます。

19.6 スプリントゴールの洗練 と 19.7 コミットメントの最終決定

Section titled “19.6 スプリントゴールの洗練 と 19.7 コミットメントの最終決定”
  • スプリントゴールの洗練: スプリントがもたらすビジネス上の価値を、短く端的な言葉(スプリントゴール)にまとめます。
  • コミットメント: 開発チームは、自分たちが作成した計画に基づき、「このスプリントゴールを達成し、選択したPBIを完成させる」ことにコミット(約束)し、スプリントをスタートさせます。

本章では、プロダクトバックログのアイテムを、スプリントで実行可能な詳細な計画へと落とし込む手法を学びました。次章(第20章)では、スプリント中の日々の進捗を確認し、計画を調整する「デイリースクラム」について解説します。